ケニー・バレル、「ミッドナイト・ブルー」。ジェリー・マリガン、「ナイト・ライツ」。など真夜中の名盤は数あれど、これ程まで深夜のよく似合う名盤は他にあるでしょうか。まるで時間の流れに挑戦しているかのようなゆっくりと深く流れるトランペット。ヴォーカリストとしての代表盤、'54「シングス」と'55「シングス&プレイズ」から3年後、彼の持ち得る本来の才能を発揮した正真正銘の代表盤。やっぱりベーカーはトランペットなのだと思います。盤全体を通して流れるこの"まったり"とした空気はどうでしょう!。いづれ劣らぬモダンジャズの巨人達がサイドをかため、彼と彼の理解者でしか創り得ない音の世界がそこに存在するのです。一曲目、「アローン・トゥゲザー」。勿体ぶったビル・エヴァンスのピアノによる導入部、かみ締めるように一音一音鳴らされるトランペットとバリトンサックスそしてフルート。2曲目、「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」。大好きなスタンダードで、エラ・フィッツジェラルドのスキャットの凄い歌が有名ですがこっちの方がだんぜん好きです。エヴァンスのピアノソロも気に入っています。3曲目、「イット・ネヴァー・エンタード・マイマインド」。夜明けを感じさせるような印象の曲でベイカーのソロで終始しています。ケニー・バレルのギターによるバックアップも良し。4曲目、「ティス・オータム」。まさにジメジメした夏が終わって爽やかに秋の始まりを感じさせる…と言うと"べた"過ぎましたか?5曲目、「イフ・ユー・クッド・シーミー・ナウ」。6曲目、「セプテンバー・ソング」。9月と言うよりむしろ"夜明け"を感じさせる印象の曲。7曲目、「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カムホーム・トゥ」。これはもう皆さんご存知!"ニューヨークの溜息"ことへレン・メリルとトランペット畑の大名人、クリフォード・ブラウンによって大ヒットした超有名曲。8曲目、「タイム・オン・マイ・ハンズ(ユー・イン・マイ・アームス)」。ビル・エヴァンスのピアノが活躍しています。ポール・チェンバースによるスコット・ラファロ風のベースソロもあり。9曲目、「あなたと夜と、音楽と」。本来はもう少しテンポの速い曲の筈ですが、"わざと"スローで演奏されてい所が実ににくい。ベイカーのアドリブによる"音遊び"が聴き物です。そして10曲目はボーナストラックで、「アーリー・モーニング・ムード」。軽快なブルースで各楽器のソロが気楽ながらそれぞれの実力を発揮しています。
■1958年59年ニューヨークにて録音。■レーベル:リバーサイド。■トランペット=
チェット・ベイカー。バリトンサックス=ペッパー・アダムス。フルート=
ハービー・マン。ギター=ケニー・バレル。ピアノ=
ビル・エヴァンス。ベース=ポール・チェンバース。ドラムス=フィリー・ジョージョーンズ、コニー・ケイ。