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本名は、チェスニー・ヘンリー・ベイカー。ジャズをよく知らない人でも特に女性には彼の根強い支持者は多くいる様な気がします。まるで女性のような甘く暖かい歌声、確かなトランペットの技術、ヴォーカルから来るイメージ通りの容姿。しかし彼は巨人であり、ヴォーカリストであり、演奏者であって必ずしも"スター"では無いんですね。名曲「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」の最もよく知られたヴォーカル録音は彼の歌声によるものです。トランペットではマイルス・デイビスの録音をよく聴きますが。父親がギターをかじった事がある程度で、決して音楽系の家族に恵まれた訳ではないんですが、ハイスクール、軍隊を通してバンド活動。軍隊時代、テナー奏者のデクスター・ゴードンを驚かせた逸話も有ります。最初の録音は'52年(23歳)で、主にジェリー・マリガン(バリトン・サックス)やチャーリー・パーカー(アルト・サックス)に認められます。今では伝説的な名門レーベル、"パシフィック・ジャズ"をマリガンと共に支えてきた実績はよく知られています。さて、ここで取上げたいのは、紹介したい代表的3枚。'54「シングス」。翌年、'55「シングス・アンド・プレイズ」。'58「チェット」。この3枚は最もよく知られた代表盤。比較的容易に手に入るかもしれません。上記の「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」は'54「シングス」に収録されています。この盤には他にも名曲スタンダードがあり、例えば、「バット・ノット・フォーミー」、「ゼア・ウイル・ネバー・ビ・アナザー・ユー」、「スリル・イズ・ゴーン」等も。購入時に注意したいのは、のちに70年代に活躍した名ギター奏者、ジョー・パスのギターがオーバーダブされている物も出回っているらしく評価が分れるところです。自分としてはジョー・パスは好きですがこれに限っては無い方が良いです。個人的には上記の数枚が現在持っている全てですが、興味尽きなくぜひ聴いて見たいのはマリガンとの数々の録音に加えて、アルト・サックス奏者アート・ペッパーとの'56「ルート」。テナー・サックス奏者スタン・ゲッツとの'53〜'54「ウエストコースト・ライブ」等。
さて、この年代枠ではないので余談になりますが、70年代ジャズの代表的名盤、'75「アランフェス協奏曲(コンシエルト)」にもベーカーは参加しており重厚な素晴らしいトランペットを聞かせてくれます。
天才型アーティストは実生活がついついお留守になりがち。88年にホテルの2階の窓から転落死した話もよく知られています。享年58歳。この一年前には東京での晩年最高の名盤2枚、「メモリーズ」と「フォア」を残したと言うのに…。
(…ここで改めて紹介!これら2枚は、「チェット・ベーカー・イン・トーキョー」と言う2枚組みで簡単に手に入り人気盤です。)
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